【実録】警察の驚きの日常

警察の仕事始め「年頭視閲式」とは?元女性警察官が語る、華やかなパレードの舞台裏

※この記事は、過酷さを訴えるものではなく、これから警察官を目指す方が心構えを持てるよう、私の実体験をポジティブな視点で振り返るものです。


皆さん、あけましておめでとうございます!
私はある県警察で12年間、警察学校生活や現場を経験してきた元警察官ママのomiです。

仕事始めから数日、ようやく日常が戻ってきた頃でしょうか。

さて、お正月明けにニュースや新聞で、パトカーや白バイがズラリと並び、警察官が一糸乱れぬ動きで行進や敬礼している姿を見たことはありませんか?

あれは、年頭視閲式(ねんとうしえつしき)という、警察にとっての「正月といえばコレ」な盛大な仕事始めの行事です。

テレビで見ると『かっこいい!』『ピシッとしてる!』と拍手を送りたくなりますが、実は参加している側は……

『頼むから早く終わってくれ…!』 
『もう足の指の感覚がない…!』

と、鼻水と寒さと戦う、まさに『修行』のような時間だったんです。

「そんなに辛いなら、ならなきゃよかったんじゃない?」 そう思う方もいるかもしれません。

でも、この極寒の地獄を乗り越えた先にある「達成感」は、警察官にしか味わえない特別なものでした。

今回は、一般の方は決して見ることができない、視閲式の美しすぎる裏側にあった若手女性警察官の心の声についてお話しします。


男性は長ズボン、女性はスカート。警察組織の「正装」が生んだ、氷の上の修行

私が初めて年頭視閲式に出たのは、警察学校に入校していた約20年前のこと。

当時は女性警察官の人数が少なく、女性部隊を編成するには、現場の先輩たちだけでは足りなかったため、私たち学生も「助っ人」として動員されることになったのです。

「警察官のビッグイベントに出られるなんて光栄!」と喜んだのも束の間。

待っていたのは、あまりに過酷な「防寒ゼロ」の装備でした。

当時の女性警察官の正装は、スカートにストッキング、そしてヒールのあるパンプス

女性の皆さんならお分かりいただけると思いますが、冬のストッキングは、もはや履いていないのと同じです。

12月から練習が始まり、本番は極寒の1月初旬。

一方、男性陣は長ズボンに靴下

いくらでも中に着込める彼らを、どれほど羨ましく思ったか分かりません。

氷のグラウンドで足の感覚が家出。ストッキング1枚の防寒対策ゼロの過酷さ

年頭視閲式の主役は、一糸乱れぬ美しさです。 シワ一つ許されない制服、ピカピカに磨かれた階級章に靴。

その完璧な外見を整えたら、いよいよ本番…の前に待っているのが、果てしなく続く「整列待機」です。

年頭視閲式には機動隊や音楽隊など、数多くの部隊が編成されており、自分たちの出番が来るまで、氷のようなグラウンドの上で直立不動で立ち続けなければなりません。

この「待ち時間」がとにかく過酷。 ストッキング一枚の足元は、地面からの冷気でどんどん冷やされ、行進が始まる頃にはもう悲惨な状態です。

足の指は冷たさを通り越して痛みになり、最後には感覚が完全に「家出」してしまいました。

そんな自分の足がどこにあるかも分からない状態で、ついに行進が始まります。

行進は「前はキッチリ90度、後ろは15度」という腕の振りを再現しなければなりません。

脳内に分度器をイメージしながら、感覚の消えた「棒」のような足を必死に動かす。

階級章を輝かせ、真顔で腕を振りながらも、心の中では、

「私の足、どこ行った…!?」

と泣き叫ぶ。それが私の年頭視閲式でした。

足の感覚がなくなるほどの極寒の中、一糸乱れぬ姿を見せるために磨き上げるのは靴や階級章だけではありません。

警察官が命の次に大切にする「あの手帳」も、こうした行事では厳しく点検されます。

ドラマではかっこよく掲げるシーンがお決まりですが、実際の現場では「紛失したらクビ確定」と言われるほどの超・重圧アイテム。

視閲式の華やかさとは裏腹に、私たちが震え上がっていた警察手帳の「シュールすぎる裏ルール」も、あわせて読んでみてください。


歩幅が合わない!現職のプロ(先輩)に置いていかれる若手の叫び

さらに行進には、感覚を失った足で挑むにはあまりに過酷な「魔のカーブ」が待ち受けています。

行進の列は、内側を現職の中堅の先輩方が固め、一番外側を私たち学生や若手が務める編成でした。

ここで問題になるのが「内輪差」です。

本来、綺麗な列を保つためには、内側が歩幅を小さくして外側を待ってあげなければなりません

しかし、内側の先輩方は現職のプロ。歩くスピードも堂々としたもので、内輪差なんてお構いなしにグイグイ進んでいきます。

するとどうなるか。一番外側の私たちは、一糸乱れぬ「行進」をしているはずが、実態は

「真顔の全力疾走」

もし列が乱れれば、教官から怒られるのは外側にいる私たちです。

でも、必死で食らいつく私の横で、涼しい顔をして突き進む先輩に「先輩、早すぎます! 列が乱れてます!」なんて口が裂けても言えません。

「先輩方、頼むから真面目にやってくれ…!」

私

パンプスの中で指を丸め、脱げそうになる靴を気合で固定しながら、私はただただ先輩の背中を必死に追いかけ続けました。


「ただ歩く」という名の過酷な任務を完遂した日

すべてのプログラムが終わり、ようやく解散の合図がかかった時の解放感といったらありません。

手足はパンパンに浮腫み、感覚の戻ってきた足指の痛みとともに、何とも言えない達成感(と、とてつもない疲労感)が押し寄せます。

「歩調を合わせてただ歩く」

文字にすれば単純なことですが、その裏には

  • 極寒に耐え、
  • 理不尽な内輪差に耐え、
  • ミリ単位の美しさを追求する警察官

の深く厳しい戦いがあるのです。

今年、年頭視閲式のニュースを見る機会があれば、ぜひ列の外側で必死に足を動かしている若手の「心の叫び」に耳を澄ませてみてください。

きっと、彼らも今この瞬間、脳内で分度器を召喚しているはずですから。


終わりに

視閲式を乗り越えた先にある達成感。

でも、警察学校を卒業して現場に出た私を待っていたのは、達成感に浸る暇もない「本当の地獄」でした。

3日に一度しかまともに寝られない。

24時間勤務のあとに非情にも鳴り響く無線。

視閲式が「静かなる修行」なら、新人時代の現場はまさに「ノンストップの戦場」でした。

私が気絶しそうになりながら過ごした、新人女性警察官の激務の全貌を激白します。

【元女性警察官の激白】新人時代は「驚きの3日サイクル」!私を待っていたのは激務と気絶の日々

2026/2/8  

警察官を目指す方必見!新人時代の「きつい」の正体を元女性警察官が徹底解説。当直明けの過ごし方や、知られざる3交代制勤務のルーティンを実体験ベースで公開します。過酷な現場をどう乗り越えたのか?読めば警察官として働く覚悟と希望が見えるはずです。

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました

  • この記事を書いた人
omiアイコン

元警察官ママ/omi

小学校の頃からの夢を叶えて警察官に。 ある県警察で12年間、警察学校、交番勤務、広報県民課(音楽隊)、生活安全課と歩んできました。現在は結婚・妊娠を機に退職し育児奮闘中。 「当時のリアルな裏側」を女性目線でブログに綴ります。

-【実録】警察の驚きの日常

Verified by MonsterInsights