「いいか、今日は絶対に仕事をするなよ。」
警察署の朝礼で、上司から真顔でそう告げられた元日の朝。 新人警察官だった私は、耳を疑いました。「仕事をするな? 警察官なのに? もしかしてお笑いのフリ?」20年経った今でも忘れられない、あの奇妙な命令。
今日は、私が現場1年目に経験した、お正月の「正義」と「組織の都合」がぶつかり合った、苦くて少し笑えるお話をお届けします。
1. 交番にいるのに「仕事をするな」という上司の言葉
それは、警察学校を卒業した現場1年目のことでした。当時の勤務形態は「三交代制」。当直→非番→週休というサイクルで毎日を慌ただしく過ごしていました。当然、お正月も関係ありません。
その年の元日は、ちょうど当直。「三が日も休めないなんて、これこそ警察官だよな……」と洗礼を受けていた私。 そんな元旦の朝礼(配置・教養)の際、上司から言われたのは、
「今日は仕事をするなよ」
という不思議な命令でした。新人の私からすれば「え、じゃあ何のためにここにいるの?」
という違和感しかありません。 「これは社交辞令かな?」「それとも、お笑いの『フリ』かな?」私はそう勝手に解釈することにしました。
2. 目の前に現れた「5人組の男の子」
朝礼も終わり、いざ交番へ。元日の住宅街は人気がなく、とても穏やかな時間が流れていました。
そんな中、街中を自転車で走る5人組の少年たちが現れます。
「私は仕事をするためにここにいるんだ!」
「元日から被疑者検挙ができたらお手柄だぞ!」
私は、正月早々勇気を出して彼らに声をかけました。彼らはお正月ツーリングの真っ最中。突然の職務質問にもとっても楽しそうに、快く応じてくれました。自転車の防犯登録などを確認させてもらい、結果、怪しい点は何もありません。 「よし、職務を全うしたぞ!」私は満足感に包まれていました。
3. 署に戻ってからの、想定外の叱責
ところが、署に戻った私を待っていたのは、上司の怒鳴り声でした。
「仕事をするなって言っただろ!もしこれで捕まえたらどうするんだ!」
……えっ?
普段はあんなに「犯罪検挙」にうるさい上司が、何を言っているの!? 職務質問の数が少ないだとか、交通違反切符をもっと切ってこい、と一睡も出来なかった当直明けにも残業でパトロールさせたれたりしていたのに!犯罪があったら捕まえるのが警察官じゃないの?もしかして、犯罪を見逃してもいいってこと!?
私の頭の中は完全にパニックです。
4. 「お正月の平和」という名の、警察の都合?
今思えば、上司が恐れていたのは、お正月のめでたい日に重大事件や面倒な手続きが発生して、署内の「平和(と自分たちの休息や体制)」が崩れることだったのかもしれません……。
現場の正義感 vs 組織の安定。
これは、警察官として最初にぶつかった大きな壁でした。
5. まとめ:あの時の「仕事をするな」の意味を考える
20年経った今でも、あの時叱られた衝撃は忘れられません。 警察官に必要なのは、ただ捕まえることだけなのか、それとも空気を読むことなのか……。ダチョウ倶楽部さんの「押すなよ!」的なフリだと思って、全力で「押して(仕事して)」しまった私の完敗でした。
あぁ、あの朝礼は、お笑いのフリじゃなかったんだなぁ。
警察官の仕事は、正義感だけでは割り切れないことや、教科書には載っていない「現場の空気感」との戦いでもあります。
こんな矛盾だらけの警察組織ですが(笑)、それでも警察官になりたい!という熱い志を持つ方のために、現在『合格ロードマップ』を執筆中です。近日公開するのでお楽しみに!
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現場の理不尽に耐える日々でしたが、たまには華やかな行事の裏方もありました笑。テレビの裏で私たちが何をしていたか、こっそり教えます!