※この記事は、過酷さを訴えるものではなく、これから警察官を目指す方が心構えを持てるよう、私の実体験をポジティブな視点で振り返るものです。
「いいか、今日は絶対に仕事をするなよ。」
警察署の朝礼で、上司から真顔でそう告げられた元日の朝。
新人警察官だった私は、耳を疑いました。
「仕事をするな? 警察官なのに? もしかしてお笑いのフリ?」
20年経った今でも忘れられない、あの奇妙な命令……。
こんにちは!私はある県警察で12年間、警察学校生活や現場を経験してきた元警察官ママの omi です!
今日は、私が現場1年目に経験した、お正月の「正義」と「組織の都合」がぶつかり合った、苦くて少し笑えるお話をお届けします。
1. 交番にいるのに「仕事をするな」という上司の言葉
それは、警察学校を卒業した現場1年目のことでした。
当時の勤務形態は「三交代制」。
当直→非番→週休というサイクルで毎日を慌ただしく過ごしていました。
当然、お正月も関係ありません。
その年の元日は、ちょうど当直。
「三が日も休めないなんて、これこそ警察官だよな……」
と洗礼を受けていた私。 そんな元旦の朝礼(配置・教養)の際、上司から言われたのは、
「今日は仕事をするなよ」
という不思議な命令でした。
新人の私からすれば、
「え、じゃあ何のためにここにいるの?」
という違和感しかありません。
- 「これは社交辞令かな?」
- 「それとも、お笑いの『フリ』かな?」
私はそう勝手に解釈することにしました。
「仕事をするな」と言われても、腰には拳銃、胸には警察手帳。
この重みがある限り、何かあれば動くのが警察官のはず……。
特に警察手帳は、ドラマでは正義の象徴としてかっこよく掲げられますが、現実の組織内では「紛失したら人生終了」という、正義感とは別の意味で震え上がるアイテムでもあります。
お正月の「仕事をさせてもらえない空気」と同じくらいシュールな、警察手帳にまつわる「命より重い掟」の裏話も、あわせて読んでみてください。
警察のリアルな裏側👉【元警察官が暴露】ドラマの刑事はクビ確定!?命より重い「警察手帳」のシュールすぎる裏側
2. 目の前に現れた「5人組の男の子」
朝礼も終わり、いざ交番へ。
元日の住宅街は人気がなく、とても穏やかな時間が流れていました。
そんな中、街中を自転車で走る5人組の少年たちが現れます。
「私は仕事をするためにここにいるんだ!」
「元日から被疑者検挙ができたらお手柄だぞ!」
私は、正月早々勇気を出して彼らに声をかけました。
彼らはお正月ツーリングの真っ最中。突然の職務質問にもとっても楽しそうに、快く応じてくれました。
自転車の防犯登録などを確認させてもらい、結果、怪しい点は何もありません。
「よし、職務を全うしたぞ!」
私は満足感に包まれていました。
3. 署に戻ってからの、想定外の叱責
ところが、署に戻った私を待っていたのは、上司の怒鳴り声でした。
「仕事をするなって言っただろ!もしこれで捕まえたらどうするんだ!」
………え?
普段はあんなに「犯罪検挙」にうるさい上司が、何を言っているの!?
- 職務質問の数が少ない!
- 交通違反切符をもっと切ってこい!
だとか言って、一睡も出来なかった当直明けにも残業でパトロールさせたれたりしていたのに!
犯罪があったら捕まえるのが警察官じゃないの?
もしかして、犯罪を見逃してもいいってこと!?
私の頭の中は完全にパニックです。
4. 「お正月の平和」という名の、警察の都合?
今思えば、上司が恐れていたのは、お正月のめでたい日に重大事件や面倒な手続きが発生して、署内の「平和(と自分たちの休息や体制)」が崩れることだったのかもしれません……。
現場の正義感 vs 組織の安定。
これは、警察官として最初にぶつかった大きな壁でした。
5. まとめ:あの時の「仕事をするな」の意味を考える
20年経った今でも、あの時叱られた衝撃は忘れられません。
警察官に必要なのは、
- ただ捕まえることだけなのか、
- それとも空気を読むことなのか……。
ダチョウ倶楽部さんの「押すなよ!」的なフリだと思って、全力で「押して(仕事して)」しまった私の完敗でした。
あぁ、あの朝礼は、お笑いのフリじゃなかったんだなぁ。笑
警察官の仕事は、正義感だけでは割り切れない矛盾もたくさんあります。
でも、その一方で、たった数分のためにすべてを捧げる「震えるほどかっこいい瞬間」があるのも、また事実なんです。
お正月といえば箱根駅伝。
華やかなレースの裏側で、沿道の警察官がどんな思いで「5分間」の任務に挑んでいるかご存知ですか?
元日に「仕事をするな」と怒鳴られた私が、今度は「安全のタスキ」を繋ぐために極寒の沿道に立った時のお話。
お節を食べるまでの、熱くて、少し切ない物語をぜひ読んでみてください。
お正月のもう一つの物語 👉 箱根駅伝、私の出番はたった5分。沿道の警察官が「安全のタスキ」を渡してお節を食べるまで。
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「箱根駅伝、私の出番はたった5分。沿道の警察官が『安全のタスキ』を渡してお節を食べるまで。」
2026/2/6
箱根駅伝の華やかな中継の裏側で、沿道の安全を守る警察官の知られざる5分間。元女性警察官が語る「安全のタスキ」を繋ぐ緊張感と、任務を終えてようやく辿り着くお正月。沿道警備のリアルな舞台裏を綴ります。