警察学校の「地獄の特別訓練」をリアル体験!入校初日から入校式まで
警察官になりたい!そう意気込んで警察学校の門を叩いたあなたを待ち受けるのは、想像を絶する2週間の「地獄の特別訓練」かもしれません。
警察学校って厳しいと漠然と知っていても、実際に何をするのか、どんな日々が待っているのか、具体的にはわからないことが多いですよね。
今回は、私の警察学校時代の経験を元に、入校初日から入校式までのリアルな日々を皆さんにお伝えします。
あの木村拓哉さん主演のドラマ「教場」でもかなりリアルに再現されていると聞きますが、私自身、あまりに辛い思い出なので「教場」は見れていません。それほどまでに心に刻み込まれる期間なんです。
入校初日、すでに戦いは始まっている
入校前にある程度の生活用品は警察学校へ搬送済み。だから、入校当日はほぼ身一つで学校へ向かうことになります。でも、安心できるのはそこまで。
この日から、もう警察官としての戦いは始まっているんです。
入校初日から入校式までは、およそ2週間。この短い期間に、警察官としての基本の「き」を徹底的に叩き込まれます。

正直、この期間に「もう無理だ…」と警察学校を去っていく人も少なくありません。それほど過酷な日々なんです。
この2週間は、数ヶ月早く入校した「指導巡査(学生指導員)」と呼ばれる先輩たちが、学校生活のあらゆることを指導してくれます。
彼らも厳しいですが、私たち新入生にとっては頼れる存在でもありました。
1日中「訓練」、訓練、また訓練…
「1日の流れは?」と聞かれたら、答えはシンプル。
…1日中、訓練です。

これに尽きます。
「気をつけ」の姿勢、敬礼の角度、休めの体勢、帽子の着脱…これら警察官の基本中の基本を、朝から晩まで、ひたすら反復練習。まさに体に染み込ませるように叩き込まれます。
警察官には「節度」が求められます。
これは、行動一つひとつに無駄がなく、素早い動きをすること。訓練では、この「節度」が徹底され、ほんの少しでも動きが緩慢だったり、不自然だったりすれば、容赦なく指導が入ります。
例えば、敬礼一つにしても、指先から腕の角度、目線、そして声の出し方まで、ミリ単位で修正が入ります。「指先が少し開いている!」「もっと素早く!」と、何度もやり直しを命じられ、腕が上がらなくなるまで繰り返しました。
同期の中には、熱中症寸前になりながらも、決して音を上げない者もいて、その姿に私も奮い立たされました。
同じことの繰り返しで、体力的にも限界が来ますし、教官はめちゃくちゃ厳しいので、精神的にも相当辛かったですね。気を抜く瞬間なんて、一切ありませんでした。
息つく暇もない、寮生活のリアル
「食事やお風呂くらいはゆっくりできるでしょ?」
いいえ、そんな甘い考えは通用しません。

食事を味わう時間もないので、とにかく口の中に詰め込む。そんな中でも記憶に残っている食事といえば、金曜日のお昼のカレーライスです。自衛隊等でも金曜日はカレーライスと言うところが多いですよね。
なぜカレーライスが私の記憶に残っているかと言うと…短時間で食べやすいから!カレーライスは飲み物ってこういうことかと納得するくらい。味より食べやすさの記憶で、作ってくれた方々には申し訳ない気持ちです。
お風呂もシャンプーとリンスが一緒になっているオールインワンのものや、洗顔も泡になって出てくるものなど、とにかく時短になるアイテムを使用しました。髪は短髪なのでドライヤーの必要はなかったので、ほぼ自然乾燥で済ませる。
食事は与えられた時間内にひたすら早く食べ、お風呂もまるで烏の行水。とにかく全てが時間との勝負でした。
そうして訓練漬けの一日が終わり、ようやく布団に入って「これで気絶するように眠れる…」と思っても、疲れすぎているせいか、朝が来るのが異様に早い。眠れるといっても、朝は目覚まし時計をかけることができず、一斉放送で流れる「学生隊起床」で起床し、すぐに点呼に向かわなければならないため、寝ても覚めても、常に睡眠不足と疲労困憊の状態でした。
また、警察学校は徹底した団体行動が基本です。個人で勝手に行動することはまずありません。教室から寮へ、寮から食堂へ…どこへ移動するにも常に隊列を組み、全員が手足の動きをピタリと合わせて行動します。まさに一糸乱れぬ動きが求められるんです。
なぜそこまで厳しいのか?警察官に求められる「プロの資質」
この2週間がなぜこれほどまでに厳しいのか。
それは、警察官という仕事が、人命や社会の安全に関わる「プロフェッショナル」だからに他なりません。
警察官には、常に規律正しい行動と即座の判断力、そして強靭な体力と精神力が求められます。
現場では一瞬の判断が命運を分けることもありますし、予測不能な事態にも冷静かつ迅速に対応しなければなりません。この徹底した訓練は、どんな状況でも揺るがないプロとしての基礎を、心と体に叩き込むために不可欠なんです。
また、徹底した団体行動は、現場でのチームワークに直結します。一糸乱れぬ動きは、単なる美しさだけでなく、緊迫した状況下で互いを信頼し、連携して任務を遂行するための土台となります。

市民の期待に応え、信頼される警察官となるために、この過酷な日々を乗り越える必要があるのです。
地獄を乗り越えた先にある「達成感」
この2週間の間、モチベーションを保つのは至難の技でした。とにかく後先のことは何も考えない。
「今に全力投球するのみ」
と自分に言い聞かせていました。
そうして過ごした2週間。入校式に招待した家族と会えた時は一際嬉しく、夢を叶えて警察官になった自分の制服姿を見せることが出来たのもとても思い出深いです。たった2週間だけれど、最後に会ったのは遠い昔のように感じました。
入校式では、多くの来賓の方々や家族が見守る中、宣誓を行いました。辛かった訓練の日々が走馬灯のように蘇り、胸にこみ上げてくるものがありました。この厳しい訓練を乗り越えられたという達成感、そしてこれから警察官として働くことへの覚悟を、改めて強く感じた瞬間でした。
家族が涙ぐんでいる姿を見た時、「乗り越えて本当によかった」と心から思いましたね。
警察学校のリアルな日々、少しは想像できましたでしょうか?
この過酷な訓練は、警察官としての一歩を踏み出すための、かけがえのない経験となります。もし他にも知りたいことがあれば、お気軽にご質問くださいね。