警察官になるまで

元警察官が解説!「正義感」を理由に警察官を目指す方へ贈るキャリアガイド

2024年10月5日

「正義感があるから警察官」はちょっと待った!元警察官が語る、本当に「正義感」を活かせる仕事

「正義感が強いから、警察官になりたい!」そう思っているあなた、ちょっと待ってください。確かに、正義感は警察官にとって大切な資質です。しかし、元警察官として12年間勤めてきた私が断言します。

正義感「だけ」では、警察官は務まりません!

むしろ、交通違反の取り締まりなどで感謝されることより、煙たがられることの方が多いのが現実です。人を助けたいという純粋な気持ちで警察官を目指すなら、別の道の方が、あなたの正義感をより輝かせられるかもしれません。

警察官は転職を前提とした仕事ではないため、一度なると一生涯その道を歩む覚悟が必要です。だからこそ、あなたの「正義感」を最大限に活かせる場所を、広い視野で見つけてほしいんです。


正義感の強いあなたに!元警察官が提案する、他にこんな選択肢はどう?

あなたのその熱い正義感を存分に発揮できる場所は、警察官だけではありません。私が考える「正義感」を活かせる職業は、こんなにあります!

警察の捜査は「一時的なもの」に過ぎません。警察官が作成した書類は検察庁に送られ、そこで検察官や検察事務官が内容を精査し、裁判に進むかどうか(起訴・不起訴)を判断します。刑事裁判で被疑者が犯罪を犯したことを証明したり、刑罰が適切に執行されるよう指揮したり、法令に基づいた事務を行うのが彼らの仕事です。

事件や事故だけでなく、犯罪の予防や治安維持も担う警察官よりも、検察官や検察事務官は、より深く事件そのものと向き合い、正義を追求できると言えるでしょう。時には、一般の人には知られることのない複雑な事件の真相を解明し、真の正義を実現するために尽力する場面も少なくありません。

別名「海の警察」。陸の警察官が「陸の警察」なら、海上保安官は文字通り「海の警察」です。海上で発生した事件や事故の捜査はもちろんのこと、海難救助や海洋汚染の監視、不法操業の取り締まりなど、その任務は多岐にわたります。広大な海という舞台で、国の安全と人命を守るという崇高な使命感を抱き、正義感を活かしたいなら検討する価値は大いにあります。海のスペシャリストとして、あなたの能力を最大限に発揮できるでしょう。

警察官が交通違反の取り締まりなどで感謝される機会が少ないのに対し、消防士は火災現場での消火活動だけでなく、救急活動や災害時の救助活動など、まさに人命救助の最前線で活躍します。そのため、感謝されることが非常に多く、「人の役に立っている」というやりがいを強く感じやすいでしょう。絶体絶命のピンチにある人を救い、直接感謝の言葉を受け取る喜びは、他の仕事ではなかなか味わえないものです。

  • 自衛官:国の平和と独立を守るという、まさに正義の最前線で活躍する仕事です。有事の際だけでなく、災害派遣など、困っている人を直接助ける機会も多く、強い使命感と正義感を持つ方には非常にやりがいがあるでしょう。国際貢献活動を通じて、世界の平和にも寄与することができます。
  • 刑務官:刑務所や拘置所で受刑者の監督や指導を行い、社会復帰を支援する重要な役割を担います。社会の安全を守る上で欠かせない仕事であり、地道ながらも社会貢献を実感できるはずです。彼らが社会復帰することで、新たな犯罪の発生を防ぐという、間接的ながらも大きな正義の実現に貢献しています。
  • 入国審査官:日本の安全と秩序を守るため、出入国管理を行う仕事です。不法滞在や密輸などを水際で阻止し、国の安全を守るという点で、あなたの正義感を存分に発揮できるでしょう。国際化が進む現代において、その役割はますます重要になっています。
  • 通関士:貿易において、輸出入される物品が適切に手続きされているかをチェックする専門家です。不正な輸出入を防ぎ、健全な貿易を支えることで、経済の秩序と公正さを守るという側面があります。目立たない仕事かもしれませんが、国際経済の健全性を保つ上で、彼らの存在は不可欠です。

「なぜ警察官になりたいのか?」今一度、じっくり考えてみよう

「正義感が強くて犯罪が許せない!」「犯罪者を捕まえたい!」そういった理由で警察官を目指す人も多いでしょう。私もかつてはそうでした。しかし、ちょっと立ち止まって考えてみてください。

犯罪者を捕まえれば、それで本当にすべてが解決するのでしょうか?

犯罪者(被疑者)を捕まえたとしても、被害者の受けた被害は消えることはありません。時には、事件による心の傷が一生涯残ることもあります。さらに、捕まえた被疑者が更生することなく、同じ犯罪を繰り返すケースも少なくないのが現実です。警察官の仕事は、犯罪者を捕まえるだけではありません。時には、心無い言葉を浴びせられたり、理不尽な要求に応えなければならなかったりすることもあります。そうした中で、あなたの純粋な正義感がすり減ってしまう可能性もゼロではありません。理想と現実のギャップに苦しむこともあるかもしれません。

だからこそ、もう一度、あなたの心に問いかけてみてください。

  • なぜ警察官になりたいのか? 具体的に、どのような状況で、誰を助けたいのか、どんな社会を実現したいのか、深く掘り下げてみましょう。
  • 警察官になって、具体的にどうしたいのか? 漠然としたイメージだけでなく、具体的な業務内容や、その中であなたがどのように貢献したいのかを想像してみましょう。
  • あなたの正義感は、どのような形で社会に貢献したいと願っているのか? 直接的に犯罪を取り締まることなのか、困っている人を助けることなのか、社会の仕組みを根本から変えることなのか。

あなたの目標や、警察官になった後の自分をもう一度じっくり想像してみましょう。その「正義感」を、本当に活かせる場所がどこなのか、深く考えるきっかけになれば幸いです。

もしかしたら、警察官という枠にとらわれずに、あなたの正義感を最大限に活かせる、もっとぴったりな仕事が見つかるかもしれません。ぜひ、今回の記事を参考に、あなたの未来について深く考えてみてくださいね。

あなたの「正義感」という素晴らしい才能を、最大限に輝かせられる場所がきっと見つかるはずです。



  • この記事を書いた人

omi

小学校頃から警察官になる!と夢を追いかけ続けました。K県警察に就職し、警察学校、交番勤務、広報県民課、生活安全課と勤務。「女性警察官」ならではの悩みもたくさん経験。結婚・妊娠を機に退職し、現在はK県を離れて育児奮闘中。12年間の警察経験を女性目線のブログに。

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