誰も知らない女性警察官

【元女性警察官の叫び】音楽隊に行きたくないと言ったら、なぜか事情聴取!?

2025年5月31日

【元女性警察官が語る】警察官の「理不尽アンケート」事件簿! 忖度か、本音か、それが問題だ!

皆さん、警察官ってどんなイメージですか? 公務員だし、規律が厳しい

「THE・縦社会」

って感じですよね? ええ、その通りです。警察の世界は、上下関係がとんでもなく厳しいんです。そして、その上下関係を決めるのは、基本的に「拝命(採用年月日)>階級」という独自のルール。
つまり、どれだけ階級が上がっても、先に警察官になった「先輩」は、永遠に「先輩」なんです。
これがもう、絶対的な掟。

特に、私が警察学校を卒業したての頃は、一年先輩というだけで、もうめちゃくちゃ怖かったんですよ! 今でこそ笑い話ですが、当時は本当にガクブルものでした。
さらに私の時代は、女性警察官の採用が年に10名程度という狭き門。
だから、数少ない女性の先輩は、さらに「めちゃくちゃ怖い存在」だったんです。

なんというか、威圧感が半端ない。


警察学校の洗礼? 音楽隊という名の「逃れられない運命」

私がいたK県警察には、ちょっと変わった伝統(?)がありました。毎年採用される10名程度の女性警察官の中から、6名が「広報県民課音楽隊員」として選ばれ、2年間、広報活動に従事するんです。
警察学校を卒業して、職場体験、初任補修課、実践実習を終えたばかりのピヨピヨ警察官たちが、いきなりを音楽隊へ。これって、警察の「花形部署」的な扱いだったらしく、「音楽隊に行きたくても行けなかった!」と悔しい思いをした先輩方もいらっしゃったとか。

そんなわけで、私も例にもれず、警察学校卒業後の職場実習3ヶ月を終え、初任補修課として再び警察学校に戻っていた時のことでした。ある日、担任教官から、一枚のアンケート用紙を渡されました。

「実習終了後、音楽隊に行っても良いか。」

その下に書かれていた選択肢は、まさかの3択。

  1. 行きたい
  2. 行けと言われれば行く
  3. 行きたくない

……いやいやいや! 私、音楽隊に行きたくて警察官になったわけじゃないんですけど?! と心の中で叫びました。同期たちもみんな「音楽隊かぁ…早く一人前になって現場で事件担当したいよね…」と、本音は同じ。

この3択で「3. 行きたくない」を選ぶなんて、ちょっと待ってくれよ、と。このガチガチの縦社会で、そんな本音を書いて大丈夫なのか? 後で何か言われるんじゃないか? と、まさに頭の中はぐるぐるパニック状態。

本音の書けないアンケートって、一体何の意味があるんだ…?

と、心の中でツッコミを入れつつも、思考回路はショート寸前でした。


「行きたくない」と書いたら、なぜか事情聴取!? 警察人生で一番震えた瞬間

結局、例年は「行きたくない」なんて選択肢を選ぶ人は皆無だった、という話を聞いていたので、ビビりまくった私は、悩みに悩んだ挙句、

「2. 行けと言われれば行く」

という、なんともヒヨった回答をして提出しました。(正直、この「ヒヨった回答」が、後々私をさらに気まずい状況に追い込むことになるとは、この時の私は知る由もなかったのです…!)

数日後、授業終了後に教官から「お前ら今日部屋にいろよ〜」という指示を受けました。なんだろう? と思いつつ、業務のないメンバーは部屋で待機。すると、ガチャリとドアが開き、

「ちょっとみんな集まってくれる?」

見ず知らずの女性が3名、部屋に入ってきました。おそらく何年か上の先輩警察官でしょう。その場の空気が一瞬で凍り付いたのを覚えています。

「はい!!!(誰だろ、なんで居るんだろう、怖いな怖いな)」

私たちの緊張などお構いなしに、先輩は続けます。

「みんな集まった? 少なくない?」

同期の誰かが小声で「3名業務のため居ません」と報告。…ああ、よりによってこういう時に限って、同期の中でも特に心強いメンバーが不在とは…! と、内心で絶望しました。

先輩は、私たちの顔を一人ひとり見回し、そして核心を突いてきました。

「あのさぁ、この前のアンケートで音楽隊に行きたくないって回答した人いるよね? あれってどういうことなの? 音楽隊に行かせてもらえるって、チャンスなんだよ?」

同期と私は、もう目を伏せるしかありませんでした。まるで、何か悪いことをした子供のように、身をすくめるしかできない。

先輩「なんて回答したか、一人ずつ教えてくれる?」

すると、まさかの展開が! 私の隣の同期が、意を決したように「行きたくないと回答しました」と、はっきり答えたんです! その後も、もう一人の同期が「行きたくないです」と続く。

ま、まじかよ…! 本音書いたのか…! 勇気あるな…!と、尊敬と同時に、私自身の「ヒヨった回答」が、ここで逆に浮き彫りになる現実に、冷や汗が止まりませんでした。

そして、私の番。

私「行けと言われれば行くと書きました…」(もう、逆に気まずい…!)

先輩は、本音を告白した同期の方に顔を向け、鋭い眼光で尋ねます。

「行きたくないって書いた人さぁ、理由言ってくれる? なんで行きたくないわけ? 先輩たちが繋いでる伝統があるんだから、行きたくないなんて言うのは失礼なんじゃないの?」

この時、部屋に流れる沈黙は、まるで永遠のように感じられました。同期と私は、ただひたすら

「時間よ早く過ぎ去れ」

と心の中で念じるばかり。私たちは、その場で延々と「音楽隊に行きたくない警察官」への公開事情聴取を食らわされたのでした…。

・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・

ようやく先輩たちが立ち上がり、

「じゃあ、今いないメンバーにも伝えておいて」

同期と私「はい。(震)失礼します。ありがとうございました。(震)」

部屋を出ていく先輩たちの背中を見送りながら、私たちは全身で震えていました。 これが、私の警察人生で一番震えた出来事です。

いや、アンケートの意味!!!!

本音の書けないアンケートは、もはや尋問である

という、警察官時代の貴重な教訓を得た一日でした。警察官の道は、本当に一筋縄ではいかないものですね!

  • この記事を書いた人

omi

小学校頃から警察官になる!と夢を追いかけ続けました。K県警察に就職し、警察学校、交番勤務、広報県民課、生活安全課と勤務。「女性警察官」ならではの悩みもたくさん経験。結婚・妊娠を機に退職し、現在はK県を離れて育児奮闘中。12年間の警察経験を女性目線のブログに。

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